PTというキャリアに向けて〜キャリア・コンサルティング・キャンペーン

昨年、無事に標準レベル・キャリア・コンサルタントとして認定されたわたしですが、その後NPOでの活動とともに、個人ベースで月1〜2日ですが、モニターを申し込んでくれた方にキャリア・コンサルティングを実施しています。

その目的は、一つは自身のキャリア・コンサルタントとしての経験と成長のため。

わたしと、加入しているNPOのスケジュールがなかなか合わないということもあって、
秘伝!〜」などと同様に、アウトプットの場がほしいなら自分でつくればよい、という考え。

もう一つは、やっぱり何かしら貢献したい、というそもそもキャリア・コンサルタントを志望した際の気持ち。
特に、昨今話題の「派遣切り」*1などについて、人材ビジネス業界の中から見てる分、その思いは強い。

そんな中、今回は先日実施したキャリア・コンサルティングについてのご紹介*2



今回のクライアントは、橘 玲の著作が好き、というわたしとの共通点を持つAさん(30歳)。2年前に受けたTOEICで775点を取るなど、語学センスが感じられる方だ。

ごあいさつの後、事前のメールセッションを通じて教えていただいた
「日本について深く知り、日本にとらわれずに生活をする」
という目標について、確認をすすめるところから始めた。

46「『日本にとらわれない』っていうのは、日本でもOK、日本も含むっていうことですか?」
Aさん「含めるけれど、あんまり気はすすまないですね」
46「なるほど、消極的な感じで」

本人にも当日ご説明したけれど、基本的にはキャリア・コンサルティングってーのは
「ふむふむ。経歴はきかせてもらいました・・・あなたのキャリアは!今後!〜するべきです!」
なんていう、上からのアドバイスで一刀両断!ってかたちではなく、質問によって進行していくケースが多い。

なにしろ、クライアントのことはクライアントが一番知っているはず。少なくとも初対面のわたしよりも。
当然、「あ!」と思うような奇策は出てこない。

だからひたすら、質問を重ねる。

46「じゃあ、外国だったらどこに住みたい、とかありますか?」
Aさん「特にどこっていうのは、まだ決まってないですね」
46「いままで行った外国で『ここは!』って思う、よかったところってありますか?」

この目標を掘り下げていくと、橘 玲の本に出てくる「PT」(Perpetual Traveler) - 「どこの国にも属さず、目的に応じて国を使い分ける、永遠の旅行者」というキーワードにつきあたった。

今回はまず、目標の具体化、イメージ化から入り、次に、そのために必要な条件へ移る。

46「PTを実現するためには・・・なにが必要だと思いますか?」
Aさん「投資についての勉強、そして資産、あとは語学ですかね」
46「資産って、いったい、どのぐらい必要なんでしょう」

途中、少しわたしがしゃべりすぎのパートで、自身の体験を交えながら、いまの仕事の良い点、悪い点などを聴きながら、3年後のキャリアを積むための仕事探し法や、職務経歴書志向の仕事術、などのキャリア談義をすすめていく。

そのなかで、「現在の時間の使い方」について現状を整理していくと、志向がさらに明らかになってくる。

46「1日があと1時間あったら、何に使いたいですか?」
Aさん「今は、TOEICの勉強ですね」
46「TOEIC900点が当面の目標、ということですが、点数の、その先の目的はどこにありますか?」
Aさん「TOEIC〜点以上、っていう募集に応募できるようになるところです」

訊くと、もうすぐにでも海外で働きたい、とのこと。そのための応募に打って出るためのTOEIC

46「なるほど。さらに言えば、海外に出ると一つ評価されるスキルが増えますよね。日本語のネイティブスピーカーとして。日本語、TOEIC900点。さらに、英語圏以外だったら現地語とか、セールスとかITのスキルとか、何かあと一つ加わればかなり面白いですよね」
Aさん「そうですね、それも考えています」
46「一生の間に勤める企業ってたぶん100はないじゃないですか。1つじゃ困るけれど、100企業に『ほしい』と言われれば十分といえば十分かもしれませんよね。」

そして、最後は中長期目標と、そのための、直近で実現可能なアクションプランの作成に移る。

46「では、とりあえず、直近はとにもかくに語学を磨く、と」
Aさん「そうですね。夏までにTOEIC900を実現します。あとは、できるだけたくさんの国を見たいですね。」
46「がんばってください。TOEIC、点数でたら教えてくださいね」

キャリア・コンサルティングの効能の一つは、アドバイスよりも、自分で決めたアクションプランを、誰かに伝え、その後実績を報告する。その「誰か」が得られることだと思う。それだけで、目標達成力はグン、と高まる・・・はず(ちょっと弱気)。


さて、毎回展開は大きく異なりますが、キャリア・コンサルティングってどんなの?という方に多少は参考になったでしょうか。
聴くだけじゃなく、「キャリア・アップの定石」や「投資の原資は時間」といったお話を交えながらの、あっというまの2時間でした。

最近、なかなかまとまった時間をとるのが難しいですが、キャリコンは半ばライフワークなので、
まだまだモニター募集は続けていますので、ご希望のかたはぜひこちらからどうぞ!

最後に、Aさんからのアンケートのコメントのご紹介。
妻は「これ、あんたが書いたやろ」と言ってますが、誓って公募なんです!

海外口座開設について調べている際に「ブログ:ギターを持った猫好き診断士:46'sショートカット」を見つけました。
ブログを拝見したところ、派遣・資格・投資など自分の興味があるキーワードがたくさんあったため、キャリアコンサルティングモニターに応募しました。
すぐに受付のメールは頂けたものの一体どんな準備をしておけば良いのだろうか?と心配になり、コンサルティング前にも関わらずあつかましく相談しました。すると、最適な書籍とWEBテストを紹介してもらい、より自分についての理解が深まった上でのモニター体験を迎えることが出来ました。

コンサルティングは、一方的なレクチャー形式でなく、適切な質問によって進みました。それぞれの質問に答えることによって、自覚していない強みやぼんやりと思い描いていた事がはっきりしていきました。
そのことに驚きながらも忘れまいと自分の言葉さえも漏らさずメモを取りました。
一連の質問が終わった後に、今後キャリアとどう向き合うか、どのようにキャリアを絡めた人生設計をするかの具体的なアドバイスを頂き、短・中長期の目標が明確になりました。

書籍で自己分析をしても何もない自分に嫌気がさしたり、無意味に過去を振り返ることになりがちですが、キャリアコンサルティングは、対面形式で行われ、適切な質問が投げかけられるので、目標が漠然としている人には適していると感じました。是非一度キャリアコンサルティングモニターの体験をしてみることをお勧めします。

*1:もはや事態は「正社員切り」へ・・・

*2:公開にあたり、クライアントの許可を取っています